今までの失敗に学ぶ

今までの失敗に学ぶ

今までの失敗に学ぶ

 

太るということが、摂取エネルギーが消費エネルギーを上まわるという単純なことなら、やせることは簡単にできてもよいはずです。それなのに、多くの人がダイエットに失敗ばかりしています。そのためか、「これをすれば簡単にやせられる」といったお手軽ダイエットがとても人気ですが、その多くは効果が一時的なもので、きちんとした結果を出すものはほとんどないのが現状です。

 

ダイエットというものは、自分が気に入らない太っている部分を細くすることでもないし、手段を選ばずにとにかくスリムになれればいいということでもないのです。身体についてしまった、余計な体脂肪を減らすことによって健康障害、とくに生活習慣病になりにくくなるようなか体のコンディションを作り出すことであり、その健康な状態を持続することなのです。

 

その大事なポイントを忘れてしまって、すぐ目の前のことや新しい方法のみを見てしまい、どう考えても結果が出るとは思えないようなダイエット方法手を試してみたところで、理想の体重と体型を手に入れることができるはずがないのです。

 

ダイエットの目標は、健康の面からは、病的な肥満である肥満症やメタボリックシンドロームからの脱却です。肥満症の人は六ヶ月で現体重の五%減、メタボリックシンドロームの人は3キ口の体重減とそれに伴う3センチのウエストサイズ減です。この場合の体重減は、体脂肪の減少によるものでなくてはなりません。

 

いずれも、三〜六ヶ月ほどかけて減らし、次の六ヶ月から一年は、減らした分を維持するという持久戦でなければ結果は出ません。多くの人が、途中で挫折してしまうのは、一ヶ月で体重を10キロ減らそうなどと、短兵急に結果を求めてしまうからです。

 

挫折を教訓にしなければ、前には進めません。なぜ失敗ばかりしていたのか、その原因をよく考えて、自分なりに確実に続けられる方法を見つけ出すことが何よりも大切です。

 

検証1 なんとなくで始めてはいないか

 

「どうも最近、お腹の出っ張りが気になる。ちょいモテオヤジ、ちょい不良オヤジを気取って、今どきのファッションを楽しみたい」などと、見た目をなんとかしようというのもダイエットの動機の一つで、そのことは決して悪いことではありません。

 

しかしそれ以上に、健康診断の結果が予想以上に悪くて、医師から「このままでは後悔することになりますよ。今すぐに、本気でやせる努力をしなさい」と強くいわれれば、だれだって怖くなり、何としてでもダイエットを成功させようと思うに違いありません。ダイエットを成功させるためには、動機は強くて具体的であるほうが望ましいことはたしかです。その点で、「メタボ対策」をうまく利用して、その動機を高めるのに役立てることをおすすめします。

 

また、ダイエットを志す人にとって、「人はなぜ太ってしまうのか」のメカニズムを知り、「自分にはなぜダイエットが必要なのか」という理由を、健康診断の検査結果、体重などの数値によってはっきり認識しておくことは、ダイエットに対する意識を高め、確実に続けようとする強い動機づけにつながります。

 

検証2 ハッキリとした目標を決めたか

 

ダイエットの数値目標は、どのくらいの期間で、体脂肪減に伴うどのくらいの体重減少を達成するかを決めることにあります。期間が短すぎると身体に負担がかかりますし、期間が長すぎるとダイエットをしているという意識は散漫になります。

 

くり返しになりますが、肥満症の人は六ヶ月で現体重を五%減らし、メタボリックシンドロームの人は三〜六ヶ月ほどで現体重を三キロ減とそれに伴う現ウエストサイズを三センチ減にし、いずれも次の六ヶ月から一年は、減らした体重を維持することです。これは、日本肥満学会が推奨する目標値です。

 

たとえば、体重80キ口の肥満症の人なら、5%にあたる4キ口を六ヶ月かけてゆっくり減らそうというわけです。身体についた体脂肪1キ口を減らすのに7000キロカロリーのエネルギーが必要ですから、4キ口の場合は28000キロカロリー。それを六ヶ月(一八〇日)で減らすわけですから、一日あたり約一五五キロカロリー余分に消費すれば達成できるという計算になります。

 

約155キロカロリーなら、40分のウォーキングで消費できます。これなら、毎日無理なく行えるでしょう。

 

ダイエット中は、面倒がらずに必ず体重をはかります。たとえわずかでも、数値目標に確実に近づいていることがわかればうれしいものですし、そのことが自分を奮い立たせてくれます。数値目標を決めない無計画なダイエットでは、失敗の確率を高めることは明らかです。

 

検証3 頑張りすぎたり焦ったりしていないか

 

俳優が、1ヶ月で体重を5キロ減らした、10キ口減らしたとインタビューにこたえているのを耳にすることがあります。いくら役づくりのためとはいえ、短い期間にこれほど大幅に体重を減らす過激なダイエットは、「やせる」というより「やつれる(やせ衰える)」といったほうがよく、体調をくずしてしまう危険があります。

 

ダイエットのプロセスは、一般的に次の三段階に分けられます。

 

第一段階は、ダイエットをはじめた直後。ちょっと食べる量を減らし運動するだけで、すぐに体重が落ちます。この時期に減るのは、主として身体の水分です。

 

第二段階は、ダイエットがペースダウンする停滞期です。この時期から、主として体脂肪が減少しますが、第一段階と同じことをやっているにもかかわらず、なかなか結果が出ないために、焦って食べる量を極端に減らしたり、過激な運動に走りやすくなります。挫折するのも、この時期が最も多いようです。食事量をふだんの三分の二ほどに減らすか、食事制限はそのままにして、運動をしっかりと行うことが大切な時期です。

 

第三段階は、目標を達成して、その体重を維持していく時期です。ここでも、食事制限を少しゆるやかにして、運動は続けることが大切です。

 

段階ごとに無理のない目標値を設定して、目標を達成したらその体重を維持した状態に身体を慣らしてから次の段階へ進むやり方をとり入れると、挫折する可能性は少なくなります。

 

もし、大幅に体重を落としたいというときは、この第一段階から第三段階までをワンクールとして、これを何クールかくり返すというやり方もできます。

 

大切なことは、わずかなことであっても、きちんと続けること、習慣にしてしまうことです。

 

検証4 ワンパターンなことばかりしていないか

 

「ダイエットに失敗ばかりしているのは、自分の意志が弱いからだ。やはりダイエットには、かなりの我慢や根性が必要なんだ」と思っていたのではないでしょうか。

 

また、ダイエットの方法がワンパターンだったのではないでしょうか。いつも同じやり方ではマンネリに陥り、マンネリになればすぐに飽きてしまいます。

 

飽きてしまったという理由でダイエットをやめてしまっては、それまでの労力がすべて水の泡となってしまいます。飽きない工夫をする余地は、いくらでもあるはずです。

 

検証5 食べすているという自覚はあるか

 

自分は食べることが大好きだからと、太った原因をきちんと自覚している人がいる反面、「自分は絶対に大食いではない」と真顔でいい張る太った人を見かけることがあります。

 

ところが、その人は間違いなく太っているわけですから、摂取エネルギーが消費エネルギーを上まわるほどに食べていたことは明らかです。食べすぎて肥満になったことに気づいていない人には、一日に食べた量を記録する食事日記をつけてもらい、自分は食べすぎであることをはっきりと自覚してもらうことが大切です。ここでも、「メタボ対策」の指導を利用する価値はあります。

 

エネルギーがゼロの水を除けば、口に入れた食物はすべて「太る材料」になります。自分は食べすぎだという自覚のない人には、体重を毎日はかり、食べたものを毎日ノートに書き残す習慣をつけることが役立ちます。

 

検証6 食事だけ、運動だけのというダイエットをしていないか

 

肥満は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上まわった結果ですから、摂取エネルギーを減らして消費エネルギーを増やせばやせられます。

 

摂取エネルギーを減らすには、食べる量を減らす、カロリーの高い食品をひかえるなど、食事をコントロールすればよいのですが、過酷な食事制限をすると、「やせる」のではなく「やつれ」てしまいます。

 

ダイエットで減らすべき体脂肪は、運動をして消費エネルギーを増や書なければ減らないというやっかいなものです。

 

一方、食べたいものを食べたいだけ食べて、運動だけでやせようとするのは運動を過信しずぎていると言えます。

 

ダイエットを成功させるためのコツとしては、食事の量をコントロールして、さらに運動もする、必ずこの二つ両方実行するということがポイントになります。始めてすぐの頃は、食事と運動の割合を八対二にして、徐々に六対四と運動の割合を増やしていくとよいでしょう。

 

検証7 ダイエット方法が間違いではなかったか

 

「これをすれば、一ヶ月で四、五キロやせられる」といった、興味をひかれるダイエット情報がちまたにはあふれています。

 

その多くは、一つの食品に含まれている栄養素や成分を強調して、「その食品だけを食べれば、やせられる」といったものです。

 

何度も挫折している人にとって、そのお手軽さや目新しさについ引き寄せられてしまうのは無理もないことですが、こうした見せかけの過激なダイエットは、医学や栄養の面からトラブルが発生することが多く、さまざまな健康障害をもたらします。

 

スタート当初は、肌荒れ、動悸、息切れ、貧血、めまい、立ちくらみなどの症状がよく見られます。こうした症状は、身体が助けを求めている証拠ですが、そのことを無視し続けていると、やがては活性組織(筋肉や骨など)まで減ってしまって病気になったり、食べることが怖くなって拒食症にいたることもあります。

 

そのようなお手軽なダイエットはトラブルも多く、効果は一時的なもので、「百害あって一利なし」です。