人が太る原因その2

人が太る原因その2

軽視できない環境的要因

 

太りやすい体質は遺伝するとなれば、太る家系に生まれた人のダイエットは成功しにくいのでしょうか。

 

実は、そんなことはありません。

 

肥満の遺伝的な要因は、食生活や運動習慣をけじめとした生活習慣などで打ち勝つことができる程度の関与なのです。

 

熱産生エネルギーの増加に作用するといわれるβ3アドレナリン受容体遺伝子異常は、日本人の約20%に見つかっているのに、アメリカの白人にはわずか数%しか見つかっていません。

 

そうであるならば、アメリカ人のほうが肥満は少ないはずですが、実際にはアメリカは「肥満の大国」といわれています。

 

その理由はファストフードを中心とした彼らのふだんの食生活を見れば容易にわかることです。

 

遺伝30、環境(生活習慣)70といわれるように、肥満の原因として遺伝要因よりはむしろ食生活や運動習慣など、ふだんの生活習慣、環境要因が大きくかかわっています。

 

親(とくに母親)がふだんから太りやすい食事をとり、ほとんど運動しない生活をしていれば、子どもがその影響を強く受けやすいことは間違いありません。

 

肥満になりやすい体質は遺伝することもありますが、生活習慣を改善しても避けられないような重大な影響を与える遺伝子異常は非常に少なく、肥満は生活習慣の改善によって克服できるものなのです。

 

ストレスによる食べすぎが肥満を招く

 

成果主義、不規則な労働時間、複雑な人間関係など、企業社会におけるストレスははかりしれません。

 

ストレスホルモンのアドレナリンが増加すると、心臓に栄養を送る冠状動脈が締め付けられるため、心疾患による突然死の危険性が常にあります。

 

ストレスが非常に強い場合、食欲不振になるものですが、軽度のストレスは、睡眠や休息以外に飲食で紛らすことができます。

 

しかしそれが高じてしまうと、どか食い、まとめ食い、やけ酒、深酒などにつながります。

 

さらには、空腹感がなくても、手当たり次第に食物を口に運んでしまう気晴らし食い症候群(大食症、やけ食い症候群)、あるいは激しく飲食してしまう神経性大食症(過食症)といった精神科的疾患になることもあります。

 

食べ物には精神を安定させる精神安定剤に似た効果があるので、食べることによってストレスや不安を解消する行為の結果として食べすぎになってしまい太ってしまうことがあります。

 

努力してこのことをコントロールしないと、やせられないのです。

 

それまでの偏った食生活や運動不足で肥満になると、身体は省エネモードになり、余ったエネルギーを脂肪に変えるインスリンが過剰に分泌方れ、脂肪をため込む作用をさらに高め、肥満の悪化へと突き進むことになります。

 

中高年になると太りやすくなる

 

心臓を動かしたり呼吸をするなど、生命を維持するために消費される基礎代謝(安静時代謝)エネルギーの量は、20〜40代男性は一日約1500キロカロリー(女性は約1200キロカロリー)です。

 

しかし、この基礎代謝エネルギーの消費量は10代にピークを迎えてしまいます。

 

そのあとは、歳をとるにしたがって徐々に減少していくので、1日に必要となる総消費エネルギー(基礎代謝エネルギー+活動代謝エネルギー+熱産生エネルギー)の量も、若い時よりも少なくて済むようになってきます。

 

にもかかわらず、10代と変わらない食事メニューで、同じ量のエネルギーを摂取していれば、太らないほうが不思議です。

 

年齢別の男性の肥満の割合を見てみると、20代が21.3%、30代が28.6%、40代が33.0%、50代が34.3%、60代が32.7%と、50代までは歳を重ねるにしたがって高い割合になってくるのです。

 

「中年太り」という言葉でわかるように、中高年が太りやすくなってしまうのは、基礎代謝エネルギーの減少にしたがって消費エネルギーが減少しているのにもかかわらず、摂取エネルギーが若いときとほとんど変わることがない、そのことが太る原因の1つなのです。

 

ダイエットで減らすのは、余分な体脂肪

 

私たちの身体は、生命の維持に欠かせない脳神経、内臓、筋肉、骨格、体水分からなる活性組織と、飢餓や病気になったときに備えてエネルギーを蓄えておく体脂肪から成り立っています。

 

健康で普通の体重の人でしたら、活性組織が約82%(水分約60%と固形成分約22%〈タンパク質17%、灰分5%〉)、体脂肪が約18%という割合です。

 

このうち、体脂肪の割合(体脂肪串)が男性は25%(女性は30%)を超えた状態が肥満です。

 

肥満には、活性組織の量は変わっていないにもかかわらず、体脂肪の量だけが増えてしまうという場合や、活性組織の量が少なくなって、体脂肪の量が増えるという場合などがあります。

 

いずれにしても、体重は、医学的に活性組織に体脂肪を加えて計算されるので、体重が多いからといって、すなわち肥満ということではなく、体重は増えていないのに肥満になってしまう人もいます。

 

スポーツ選手は、筋肉を鍛えているために活性組織の割合が増えて体重は増加しても、体脂肪の割合は以前と変わらないために、肥満ではなく筋肉太りといわれます。

 

逆に、ファッションモデルのように筋肉が少なくてほっそりしていても、体脂肪の割合が基準より多くなれば隠れ肥満になります。

 

 こではっきりしておきたいのは、ダイエットで減らすのは、身体についた余分な体脂肪だということです。

 

体脂肪を減らすことで体重を減らすということが、本当のダイエットの目的であることを忘れないようにしなければなりません。